『作業環境測定』とは
『作業環境管理』を進めるためには、作業環境中に有害な因子がどの程度存在し、その作業環境で働く労働者がこれらの有害な因子にどの程度さらされているのかを把握しなければなりません。この把握することを広い意味で作業環境測定といっています。
労働安全衛生法第2条では、『作業環境測定』とは「作業環境の実態を把握するために空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)をいう」と定義されています。
『作業環境測定』は、働く方々の健康障害を予防するため、職場の有害物の存在状態を科学的に評価し、職場環境が良好であるか、改善措置が必要であるかを判断するために行うものです。
作業環境測定を中心とした「作業環境管理」は、その意義を「品質管理」と同じように考えることができます。
作業環境測定を行うべき作業場と測定内容等
- 作業環境測定は、以下の表に掲げる作業場について行うことが法令で義務づけられています。
- 有資格者(作業環境測定士)に行わせなければならないもの(数字に◯印が付いているもの[指定作業場])と、職場の担当者が行えるものがあります。
作業環境測定を行うべき作業場 | 測定 | |||||||
作業場の種類 (労働安全衛生法施行令第21条) |
関係規則 | 測定の種類 | 測定の種類 | 記録の 保存年数 |
||||
土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場 | 粉じん則 26条 |
空気中の濃度及び粉じん中の遊離けい酸含有率 | 6月以内毎に1回 | 7 | ||||
暑熱、寒冷または多湿屋内作業場 | 安衛則 607条 |
気温、湿度、ふく射 | 半月以内毎に1回 | 3 | ||||
著しい騒音を発する屋内作業場 | 安衛則 590,591条 |
等価騒音レベル | 6月以内毎に1回 | 3 | ||||
坑 内 の 作 業 場 |
|
安衛則 592条 |
炭酸ガスの濃度 | 1月以内毎に1回 | 3 | |||
|
安衛則 612条 |
気温 | 半月以内毎に1回 | 3 | ||||
|
安衛則 603条 |
通気量 | 半月以内毎に1回 | 3 | ||||
中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの | 事務所則 7条 |
一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温、相対湿度 | 2月以内毎に1回 | 3 | ||||
放 射 線 業 務 を 行 う 作 業 場 |
|
電離則 54条 |
外部放射線による線量当量率 | 1月以内毎に1回 | 5 | |||
|
電離則 55条 |
空気中の放射性物質の濃度 | 1月以内毎に1回 | 5 | ||||
|
||||||||
|
||||||||
特定化学物質(第1類または第2類物質)を製造し、または取り扱う屋内作業場等 | 特化則 36条 |
第1類または第2類物質の空気中の濃度 | 6月以内毎に1回 | 3 (特定の物質については30年間) |
||||
石綿等を取扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場 | 石綿則 36条 |
石綿の空気中における濃度 | 6月以内毎に1回 | 40 | ||||
一定の鉛業務を行う屋内作業場 | 鉛則 52条 |
空気中の鉛の濃度 | 1年以内毎に1回 | 3 | ||||
酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場 | 酸欠則 3条 |
第1種酸素欠乏危険作業に係わる作業場にあっては、空気中の酸素濃度 | 作業開始前等毎 | 3 | ||||
第2種酸素欠乏危険作業に係わる作業場にあっては、空気中の酸素及び硫化水素濃度 | ||||||||
有機溶剤(第1種または第2種有機溶剤)を製造し、または取り扱う一定の業務を行う屋内作業場 | 有機則 28条 |
当該有機溶剤の濃度 | 6月以内毎に1回 | 3 |
- ◯印は、作業環境測定士による測定が義務付けられている指定作業場です。
- ※印は、作業環境評価基準が適用される作業場です。
- ■は、当機関で測定可能な作業場です。